ホルモン補充療法(HRT)とは、更年期障害の治療のために、閉経前後に体内で不足してきた女性ホルモンを補充する療法です。
欧米や北欧を中心に世界の先進国で更年期世代からの女性に処方されています。
また、もともと女性に体内にある女性ホルモンを使った治療法として、各国に長期データがあり、安全性と有効性が示されています。
更年期障害とは、「更年期におこる生理的な変化のためにおこるさまざまな障害」をさし、卵巣そのものの機能が落ち込んでしまうこと、つまりエストロゲンが出なくなることが中心となって引き起こされます。
エストロゲンは、女性としての機能を維持するためにとても多くの作用を発揮しています。
つまり、「更年期症状」は「エストロゲンが減ってしまうためにおこる自律神経失調症」といえます。
更年期の症状
早期に出現する「ほてる」「のぼせる」「冷える」「動悸」「異常な発汗」など、おもに自律神経失調症に関係するものと、何年か遅れて発病する骨粗鬆症、高脂血症(動脈硬化症、高血圧症)、皮膚の萎縮や色素沈着、関節疾患などおもに代謝障害に関係するものがあります。
一般的に更年期の症状といえばホットフラッシュや発汗ですが、他にも、関節痛、腰痛、肩こり、めまい、耳鳴り、抑うつ、イライラ、集中力低下、記憶力低下、不眠、かゆみ、尿失禁、性交痛、シワ、たるみなどの多岐にわたる症状があり、その出方には個人差が大きく、ほとんどない人から、どれもこれもある人までいろいろです。
ホルモン補充療法(HRT)は、女性ホルモンの低下により引き起こされる高脂血症や動脈硬化を予防し、心筋梗塞、骨粗鬆症、記憶力低下、認知症、アルツハイマーなどの発症率を低下させることが期待できますが、逆に閉経後10年以上経ってからHRTを開始すると、かえって高脂血症、動脈硬化を促進し、心筋梗塞の発生率を高めることがわかってきました。
皮膚への影響も大きく、早期に始めるHRTにより、深いシワを予防することが出来ますが、出来てしまってからHRTでシワをとることはできません。
(シワはとれませんが、張りやツヤを整える効果はあります)
このことからホルモン補充療法(HRT)は、できれば閉経前後2年~5年以内に開始するのが望ましいと考えられています。
ホルモン補充療法(HRT)は、その人に合った方法で行うのがポイントです。
HRT(ホルモン補充療法)に用いる薬剤は、
卵胞ホルモンのみ
黄体ホルモンのみ
卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤
上記の3種類があります。
それぞれの特徴を理解して自分あった薬剤を選択することが重要です。
薬剤の一例としてプレマリン(卵胞ホルモン)やプロベラ(黄体ホルモン)を紹介しています。